基礎物性
ゲル化
グリロイドはゲル化剤にもなる
グリロイド(タマリンドシードガム、タマリンドガム)は増粘剤として知られていることが多いですが、実はゲル化剤としても使用できます。糖類、アルコール類、ポリフェノールなどと併用することでゲル化(ゼリーに)することができます。どのような条件でゲル化するかそれぞれ見てみましょう。
糖とのゲル化
グリロイドは糖と相乗効果があります。糖があると相乗効果により通常より高い粘度を示し、条件によりゲル化することができます。この糖とのゲル化は、糖が増えることで押しやられたグリロイド分子同士が近づいていき、くっつくことでゲル化することがわかってきました。
ゲル化する条件は糖によって変わりますが、砂糖では糖濃度40~65%でゲル化し、弾力性のあるゲルになります。ゼリーは糖濃度20%くらいが一般的なので、糖濃度40~65%は非常に高い糖濃度で、同様の糖濃度の例としてジャムが挙げられます。高い糖濃度では、ゼリーに使用されるカラギーナンなどのゲル化剤はうまく固められない場合も多く、グリロイドは高い糖濃度で固めることができる数少ない多糖類と言えます。ジャムによく使用されるゲル化剤にはペクチンがありますが、グリロイドがペクチンと違う点としては、pHによらずゲル化させることができる点です。したがって、酸性のみならず中性のジャムを作ることもできます。また、グリロイドと糖のゲルは冷凍解凍耐性もあり、0℃でも凍らないので、常温や冷蔵で使用するジャムや和菓子やゼリーなどの他、冷菓用ソースや冷菓用センターゼリーなどにも利用できます。
ゲル化の条件は、糖の種類によっても異なり、単糖、糖アルコールの方がゲル化しやすいのでより少ない糖濃度でゲル化することができます。
アルコールとのゲル化
グリロイドはアルコール類と併用することでもゲル化(ゼリーに)することができます。このゲル化はアルコールの脱水作用に加え、アルコールと水がグリロイド分子間の仲介役となって網目状の構造をつくることによると考えられています。食品ではお酒のゼリーを作ることができます。アルコールの種類によって弾力のあるゲルやさくいゲルになるので、食品以外でもの物性を利用して様々なゲルにすることができます。
ポリフェノールとのゲル化
グリロイドはポリフェノールとの相乗効果もあります。特に緑茶ポリフェノール(カテキン)と併用すると弾力性があり、融点が低いゲルになります。融点は20~30℃と低いので口にいれると溶けるくちどけの良いゼリーにすることができます。
グリロイドは糖との相乗性を活かしてジャムやフルーツソースで増粘やゲル化、佃煮で照りつや向上に使用されたり、グリセリンとの相乗性を活かして保湿効果を示したり様々な用途で使用されています。グリロイドがどんなものにどんな目的で使用されているかについてはぜひグリロイドの使用例のページをご覧ください。