その他
可食フィルム
包装原料へグリロイド!?
1964年に発売されてから食品添加物、そして化粧品原料として使用されているグリロイド(タマリンドシードガム、タマリンドガム)ですが、実はフィルムにもご使用いただけます。
世界ではプラスチック利用の積極的見直しを図る動きが急速に拡大していることを受けて、日本でも2022年にプラスチック資源循環促進法が定められ、いわゆる3R(Reduce、Reuse、Recycle)に、新たにRenewable(再生可能)が加わり、バイオプラスチックや生分解性プラスチックへの代替が盛んに検討されています。その中でも、大量にプラスチックが使用される包装用途ではプラスチックの削減に加え、代替品への切り替えに目を向けた活動がみられるようになり、身近な例でいえば、紙包装に切り替えた食品包装などを見る機会が増えたのではないでしょうか。食品添加物としての使用が一般的なグリロイドですが、実は包装用途において、環境に優しい包装素材の新たな選択肢として期待されています。
グリロイドでつくるフィルムの特徴
グリロイドは自然なとろみやニュートン流体、ゲル化機能に注目しがちですが、実はグリロイドの水溶液からつくるフィルムは優れた特徴を持ちます。
- 単体で優れたフィルム形成能を有し、糖アルコールやグリセリン等を組み合わせることによりフィルム物性を調節可能
- 植物由来、可食素材のみでフィルムを作ることが可能
- 高い酸素バリア性
この性質を利用した応用例をご紹介します。
水に溶けて食べられる包装
グリロイドのフィルムは高い酸素バリア性を持つので、内容物の酸化を防ぐガスバリアフィルムや、他素材との積層による植物由来ガスバリア層としての活用が期待できます。
元々の水溶性という性質を有効に使う用途としては、例えば、このフィルムを粉末調味料、粉末飲料、乾燥具材の包装に使用することで、内容物の酸化や臭気漏れを防止でき、フィルムが水またはお湯に溶解することから、喫食時に包装ごと調味料などを投入することが可能になります。グリロイドは発売された1964年から食品添加物として喫食されているものですので、もちろん食べても問題ありませんし、これにより包装袋の廃棄量低減が期待できます。
▼粉末緑茶をグリロイドのフィルムで包装し、水に入れると…▼
紙素材との組み合わせ
食品包装をプラスチックから紙資材へ代替する課題として、一般的に紙には空孔があるため、各種ガスを通し内容物の品質維持が難しい点が挙げられます。そのため、内容物を保護するために、各種ガスをバリアする層の付与が必要になります。このうち酸素バリア性の付与によく使用されているのは、石油系樹脂であるEVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)やPVA(ポリビニルアルコール)などを塗工もしくは貼り合わせるという方法ですが、石油由来樹脂を使用しているので環境適正の点でさらなる改善が望まれていました。グリロイドは高い酸素バリア性をもつ植物由来素材なので、真の意味での環境対応型包装を実現できると期待されています。
まだまだたくさんの可能性を秘めているグリロイド、食品、化粧品以外の用途にもぜひお試しください。
タマリンドシードガムについて詳細を知りたい方は、多糖類comの多糖類の種類をご覧ください。→こちら